宮古島御嶽とは

宮古というのは未分が強く残る島である。謡、文学、祭祀、政治、宗教、歴史、民族性これらが一体となって境なく、人びとの生活と強く結びついている。人間の文化形成において主客を分類することで対象を合理的に発展させ、カテゴライズすることによって細分化が促される。ある一定の秩序はこの生成される意味分節の命名によって客観的に認知されるが、この秩序は現代社会において世界の存在証明を携え、その所在と範囲の明確さを強調する。

ただこのフレームでは捉えきれない零れ落ちるものが確かにある。それは行き着くところまでの二元論がもたらす秩序生成過程で還元される差分の美学―境、あいだという無数の空間に追いやられ未分として取り残されたものだ。

14,000もの島の集合体である日本において、この宮古は南島の離島であるがゆえの歴史的悲哀を信仰に重ね、現代における生と自然の不可分、つまりロゴス的回収を逃れた根源的生存意識を表してきた。

このサイトは「豊かさ」という言葉で単純に一括りにできない人間のあり様を、この現代においてもなお残存する稀有な地としての魅力を伝えると共に、ただ昔ながらの形に回帰するのではなく、非ー目的的形態とでも言おう近代の経済利潤追求型でない装置の保存と再考を、そして来たるべき真の未来の精神充足型社会の基盤としての価値を問い直すものである。

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Photography & writing & design & edit:
Tomonori Koyama 瑚山朋令

参考文献

『宮古史伝』慶世村垣任
『宮古島庶民史』稲村賢敷
『沖縄拝所巡り』比嘉朝進
『平良市史第九巻』平良市史編さん委員会
『宮古お嶽集』仲間井左六
『「青」の民俗学』岡谷公二/山下欣一
『青と白の幻想』谷川健一
『常世論』谷川健一
『宮古の神々と聖なる森』平井芽阿里
『宮古島の信仰と祭祀』岡本恵昭
『宮古島における「神の位相とその所在性について」』岡本恵昭
『宮古の御嶽と鳥居 -その背景について考える-』下地和宏
など